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起終点駅ターミナル 桜木紫乃
短編集。
若い女性新聞記者、上司デスクになじられいつも消沈。
取材あとにぶらついた防波堤でサケ釣りしていた男と会話する。
後日、防波堤からの転落事故で亡くなった人がその男で、元妻の男殺しの前科がある別名の男だったことがわかる。
記者として元妻の取材に行くが、本題を切り出せず「お前は甘いんだよ」というデスクの声が浮かぶ。
短編のどれも心の動きが繊細でとても良い。
じっくり読めて◎、読後感は○。
すばらしい。
ちょっと今から仕事やめてくる 北川恵海
中堅印刷会社で働く若い社員、早朝から深夜まで働くも失敗したら上司にどやされ心身消耗、駅で塞ぎこんでいるところに同級生が現れて励まされる。
でもその同級生、どうしても思い出せず、調べたら同級生にいなかった。
設定としては簡単な気もするけど、単純だからこそか、単純にこちらも励まされる感じで○、読後感も○。
白日 北方謙三
天才面打ち師が表舞台から姿を消して漁師をしながらルアーづくりの毎日を送る。
そこに過去を知って再び面を打つようもちかける女性が表れる。
極めた職人というのはこんな感じかどうかわからないけど、これくらいの境地にいってみたいとも思う。
深くはまれて◎、読後感は○。
すばらしい。
海の見える街 畑野智美
図書館で働く男性司書、ずっと同僚女性が好きだったが結婚して退職、その後若くて本に何の興味のないあっけらかんとした女性が契約職員で入ってくる。
2015年の最高の恋愛小説とある帯がちょっと大げさな感じだけど、日常どこかでありそうな恋愛小説でいい。
読みやすくて○、読後感も○。
黒龍の柩(上下) 北方謙三
新選組、土方歳三の奮闘。
幕末の幕府方は倒幕方と戦うと日本にフランス・イギリスの介入が入ることが必然なため、不戦で折り合いをつける方向に進む。
この頃の各藩と人物の動きが目に浮かび、歴史をもっと理解したいと思いたくなる。
人々の思いがぐっときて◎、読後感も◎。
すばらしい。
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